学校法人国際文化学園の美容考古学研究所では、土偶、埴輪のヘアメイクから縄文、弥生、古墳時代の美容を研究、歴史的遺物から当時の髪型や化粧を類推して再現することを主とする活動の一環として、毎月末の最終水曜日に定例サロンを無料開催しています。
9月28日(水)に開催されたサロンのテーマは「タトゥー(イレズミ)」です。会場にはタトゥーを施している現役の美容師さんにお越しいただき、ご自身のタトゥーを披露していただきながら、現代のタトゥーと縄文時代からあったとされるタトゥーについて意見を交わしました。
「タトゥー(イレズミ)」と言っても、その呼び名もたくさんあります。英語では「タトゥー」ですが、日本語では「刺青」や「入れ墨」、または「彫物」という呼び方もあります。
日本では長い間負のイメージがついてきたタトゥーですが、近年はファッションとしても認められつつあります。
タトゥーのルーツを縄文に求める説もたくさんあり、言葉を交わさずに自身の身分や属性を意味するものとして、また魔除といった意味でもタトゥーが在ったということは考えられます。実際に縄文時代の土偶にもタトゥーが施されています。さらに、弥生時代に記された『魏志倭人伝』にも倭人(当時の日本人)は、顔や身体に入れ墨を施していたという記録があります。日本のタトゥーが世界でも類をみない美しい装飾に発展したのは、江戸時代です。着物のように身体を包みこむように、絵や物語で全身を構成するのが特徴で、流行になりました。一方、江戸時代中期には罪人に科される刑罰として入れる「入れ墨」が採用されました。
サロンでは「刺青」と「彫物」といった文化的側面の違いを踏まえながら、縄文から現代に共通する儀式とファッションについて考えました。同じ身体に墨を入れる行為でも、現代のタトゥーはかつてのタトゥー(イレズミ)とは趣が異なり、意味が全く異なることがわかりました。
会場では、長野県佐久市平石遺跡の、(タトゥーと思われる)口に十字の刻線が表現されている土偶をモチーフにメイクアップアーティストの清水悌先生に、土偶を模したメイクを再現してもらいました。口元を十字で封じられるというのは、表情を封じられるということで、非常に悍ましいため、このタトゥーは魔除けであったのではないかなど、会場の皆様と一緒に考察しました。
次回・10月26日(水)のサロンでは、「土偶の作り方を通して考える、土偶の意味」を予定しております。どなた様も無料でご参加いただけますので、お気軽にご参加ください。
講師 :清水悌(メイクアップアーティスト)
アドバイザー:譽田亜紀子(文筆家)
【開催日時】
第16回 美容考古学勉強会
日時:2022年10月26日(水)16:30~
会場:国際文化学園美容考古学研究所 ※会場が変更になる場合もございます
(渋谷区神泉町1-4 国際文化理容美容専門学校渋谷校 6号館B棟4F)
費用:無料
▼参加希望の方はこちらより▼
国際文化学園 美容考古学研究所
主任研究員 篠原博昭
TEL : 03-6416-5348
Mail : shinohara@kokusaibunka.ac.jp
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